20年も乗ってりゃ、スターティングモーター(セルモーター)が壊れたって何の不思議も無いんだけど、いざ壊れるとすごーく困る。
いつも押し掛けするわけにもいかないし、カーフェリーの中で押しがけはしたくもないし、部品は高いしね。
しょーがないので、まずはセオリーどおりに、本当にセルモーターが壊れているのかの確認から。
当たり前だけど、点検はお金のかからないところ、手間のかからないところから始めるのが鉄則です。
作業に入る前に、こことここを参照してください。
ちゃんと電圧はかかっている |
おそらく今年最後の暖かい日、今日乗らなきゃいつ乗るんだって意気込みでエンジンをかけようとしたけど、セルが回らない。リレーはカチカチ鳴っているのに、モーターが回らなくなってしまった。
バッテリーは13.5Vもあるし、クルマとつないでも回らないのでバッテリーじゃない。配線チェックのためテスターをあてると、モーターにはちゃんと12.5Vかかっている(1ボルトも電圧が下がります)
考えられる可能性は、ふたつ。
セルモーターか、スターティングクラッチの不具合。
この段階でやらなければならないことは、「どうぞモーターの故障であってください」と祈ること。スタータークラッチは面倒だからなぁ。
はずしにくいボルト |
まずはカバーをはずしてスターティングモーターを取り外すわけだけど、このボルトがはずしにくいのなんのって。だって見えないんだから。右側のボルトは完全に見えないのであった。
画像のように、ソケット、首振り延長バー、さらにT字ハンドルを駆使してなんとかはずれた。ラチェットハンドルは、頭の小さいのじゃなきゃ使えないと思う。
ボルトをはずしたあとも、モーター本体をはずすのにも苦労する。
キャブやカムチェーンテンショナーをはずしちゃえば簡単なんだけど、そんな面倒なことできるわけが無い。
思ったほどボルトが硬くしまっていなかったのは、幸運だった。
取り外したあとにモーター単体で回してみたけど、やっぱり回らなかった。
限界を超えたカーボンブラシ |
インパクトドライバーでモーター本体の2本のビスをガツーンとゆるめて分解すると、大量のカーボンの削れカスとともに現れたのは、すり減って無残な姿をさらすカーボンブラシだった。
4個あるブラシのうちの2個は、もう磨り減って消滅していて、中ぶらりんの配線だけが残っている状態だった。これじゃ回るわけ無い。カーボンがすり減ると、金属の配線がコンミテータ(接点)を削ってしまい、修復不可能になってしまう。
本体を分解するときは、ゴムシールを切らないように注意しましょう。
ちなみに画像中、蚊取り線香のような渦巻き状の黒い板バネは、カーボンブラシをコイルの接点(コンミテータ)に押し付ける役割をしています。
そのうち適当なカーボンブラシを手に入れて、修理しなきゃ。ホームセンターなどで、ドリルやサンダー等の電動工具用の部品として売られているカーボンブラシが使えそう(要加工)だけど、ちょっと配線が細いかなぁ・・・
未確認ですが、ブラシアッセンブリはカワサキのZ系と同一の気がする。もしかしたら、モーターごと同じかも。
3種類のセルモーター |
こういうこともあろうかと、ヤフオクで手に入れといたスターティングモーター。どれも1,000円前後でゲットしてます。左端のはND製で、残りはミツバ製。
左から、1100S用として売られていたもので、記号は、31100-49210 028000-6851。
中央は俺の750S1からはずしたもので、刻印されている記号は、SM-8210。
右は750S Type-2用(もしかしたらGSX-E用)で、記号はSM-8225。
要所の寸法は同じなので、互換性があると言って良いと思う。配線を取り付ける位置が違うけど、スターティングモーターカバーの形状から、どれも取り付けられるでしょう。ちなみに、マイナス側の配線はボディアース。
今回は、右端のを使います(左のは磁石がはがれているので修理が必要)
これから取り付けるセルモーター |
これから取り付けるセルモーターの中身を点検してみると、カーボンのカスが少々あるもののサビはほとんど無く、カーボンブラシの残量もじゅうぶん。あと10年は大丈夫でしょう。
取り付け前に、まずは単体で配線につないで、ちゃんと回るかテストしましょう。期待通り、すごい勢いで回ってくれました。
エンジンに仮組みしてテストしても、いい音出して回ってくれます。心なしか、以前よりも回りが良さそう。
いちばん驚いたのは、スターターモーターの回転音。全く違う種類の音がする。以前は機械音がしていたのに、修理後はちゃんと電気でモーターが回転する音になった。
エンジン始動時にガシャガシャと機械音ばかりが耳についたら、セルモーターがかなり痛んでいるのかもしれないので、みんなもぜひチェックしてみてねー。
ボディ側面のビスと位置合わマーク |
参考までに、今回使ったスターティングモーターの特徴なんぞを少々。
他の2種とのいちばんの違いは、ボディ側面にビスがあること。
最大の違いは、永久磁石ではなく電磁石を使っている事です。
このビスは4本あって、どうやらこいつで内部の磁石を固定しているようです。
他のは磁石を接着していますが、その磁石がはずれて壊れていることがあるので、ビス留めは安心できそうだ。
それとモーター本体の組立て時、ボディーに位置合わせマークが刻印されているので、そこを合わせて組み立てること。じゃないと、組立てはできても配線をつける位置が変わるので、エンジンに取り付けられなくなります。